第五話:マコトの想い

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彼女は高月百合音さん。 僕の病気について理解した上で秘書をやってもらっている。 この病気になってから僕はほとんど表に出ることがなくなり、感覚としては数ヶ月眠って一日だけ起きてまた眠る、という状態だった。 だから、眠りから覚めた時は季節が変わっていたり、知らない場所にいたり、面識のない人が隣にいたりして必ず驚いていた。 けれど、彼女が傍で働き出してからは数日で表に出ることが多くなり、驚きはかなり減った。 「マコトさん!大丈夫ですか!?冴子さん呼びますね!」 ただ、表に出る回数が増える毎にこうして頭痛がひどくなっていることも感じていた。 痛みに耐えきれなくなった僕が頭を抱えると、百合音さんが真っ青な顔をしてスマホを手にした。 その手を掴んで懇願する。 「……大丈夫……だから、百合音さんは僕の傍を、離れないでください」
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