第五話:マコトの想い

6/15
前へ
/195ページ
次へ
一目惚れに近いかもしれない。 街角で彼女とぶつかったあの瞬間、何か運命的なものを感じて動悸がおさまらなかった。 「あ、これお茶菓子です」 そう言って彼女が僕のデスクにお茶菓子を置くと、後ろで一つに束ねられた緩いパーマの掛かった髪がサラリと肩に落ちた。 彼女が体勢を戻すと、その髪は再び背中の方へ消えていく。 「美味しそうだね。僕、和菓子好きなんです」 「ほんとですか!私も大好きでケーキよりまんじゅうに手が伸びちゃうんです。おばあちゃんみたいって言われるのが嫌で避けてた時期もあったんですけど、やっぱり好きなものは我慢出来ませんでした」 そう言って笑う彼女に釣られて僕も笑顔になる。 運命的なものを感じた彼女に惹かれて傍に置き、こうして過ごしていくうちに彼女の内面にも惹かれ、今やすっかりハマっている。 これぞ“恋に落ちた”ってやつなのかもしれない。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加