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それでもシチュエーションはばっちりで、僕の告白が終わると同時に最終日の花火も終わりを告げた。
静まりかえるダイニングルーム。
百合音さんは目を見開いたまま動かない。
「……百合音さん?」
「あっ、えっと」
心配になって声を掛けると、彼女の止まっていた時は動き出したようで、カアッと顔を赤らめてキョロキョロと視線を彷徨(サマヨ)わせた。
返事を待ってゴクリと唾を飲み込む。
「……嬉しい、です。そんな風に思ってくれてたなんて知らなかったから」
嬉しい、と言ってくれたことに僕も嬉しくなって、百合音さんを抱きしめようと手を伸ばしかけた時だった。
彼女の表情が一変し、僕の緊張が再び戻ってくる。
「でも……少し考えさせてもらえますか?」
「か、考える?」
僕の声は震えていた。
天国から地獄に突き落とされた気持ちだったから、彼女の言葉の意味が理解出来なかったのだ。
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