第五話:マコトの想い

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シンが関係しているとなると、考えられる理由はいくつかある。 ただ――、 「……マコトさん」 俯いていた彼女が上げた顔を見て、僕の胸は握りつぶされるくらいに苦しくなった。 “この理由だけは嫌だ”と考えているものを、彼女が口にしてしまいそうで。 「マコトさんとシンは同じだけど違うって、私はちゃんと区別出来る人間だと思ってました。でも……最近、シンがマコトさんに見えてしまう瞬間があるんです」 もちろんシンも僕であることに変わりはないのだから、百合音さんの言っていることはおかしくも何ともない。 ただ、彼女の言っている意味を辿ろうとすると胸の苦しみがひどくなるのは、百合音さんの見ているのが僕ではなくてシンのような気がするからだろう。 僕に話しているはずなのに、僕の瞳の奥に向かって話しているような、そんな不思議な感覚が胸を苦しくさせた。
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