第五話:マコトの想い

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「――マコトさんごめんなさい」 懺悔するように呟いた百合音さんが僕に手を伸ばした瞬間、僕の意識は途切れてしまった。 ふわふわと宙を浮いているような感じに身を任せ、深い眠りにつくのだ。 今回は前回よりも頭痛がひどくなっていたから、しばらくこのまま僕の体はシンに任せてゆっくり眠りたい。 いや、眠りたいのは頭痛のせいだけじゃない。 百合音さんの言葉にこれ以上傷つきたくないからだ。 「――……シン」 眠りにつく瞬間、ぼんやり視界に写った百合音さんはボッと顔を赤くしながらも、僕を潤んだ瞳で見上げていた。 あ……僕じゃないか……シン……か。 ……もう何も考えたくない。何も。 暗い闇の中に身を委ね、深い眠りについた僕が次に目覚めたのは――。 「――え?」 暖かい百合音さんの腕の中だった。
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