第六話:闇のココロ

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マコトさんから好きだと告白されてから数週間。 あれ以来、一度もシンからマコトさんに代わることはなかった。 それはもちろん私が意図的に触れないせいもあるけれど、マコトさん自身も表に出ることを拒んでいるらしかった。 らしかった、と言うのは、シンからそう聞いたから。 マコトさんが表に出られる状態であれば、シンは何となく分かるのだそうで、今はそれが感じられないらしい。 でも、私にとってもそれは有りがたい状況だった。 逃げていると言われればその通りなのだけど、私はマコトさんの告白から逃げていた。 「……最低ですよね」 私の様子が変だと察知した冴子さんが、ホテルの私の部屋で話を聞いてくれていた。 コーヒーに口をつけながら足を組みかえ、ジッと私を見ている。 その視線に言葉以上のことを読み取られていくような気がして、思わず視線を逸らした。
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