第六話:闇のココロ

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「マコトもシンも、それぞれ一人の男として考えてもいいんですよ」 まるで私の思考を読み取ったかのような冴子さんの発言に目を丸くする。 そんな私を見て冴子さんはフッと目を細めて優しく微笑んだ。 「百合さんはきっと私以上にマコトとシンのことを考えてくれているのだと思います。だからこそ、マコトの告白にyesもnoも言えないのでしょう?」 ズバリ当てられてしまったからなのか、それとも理解して欲しかったからなのか、私の目頭は急激に熱を持ち始めた。 さすが精神科医だ。 人の心の重荷を外す術を心得ている。 「……私……マコトさんのことは好きです」 初めて会った時からタイプだなぁと思っていたし、一緒に過ごすにつれてマコトさんの優しさに癒されていたことも事実だ。 だけど――、 「男として好きなのは……シンなんです」
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