第六話:闇のココロ

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マコトさんに告白されて気が付かされたこと。 それは、私がシンに惹かれているということだ。 マコトさんの告白をシンが視ていると思ったら、浮気現場を見られたような罪悪感に捕らわれたから。 もちろん浮気でもなんでもないのだけれど。 「それでいいと思いますよ」 「でも……」 「人の心は操れません。素直に認めて自分を楽にしてあげてください」 コトンとコーヒーカップをテーブルに置いた冴子さんが、私にハンカチを差し出した。 冴子さんの笑顔と差し出されたハンカチが、私の苦しかった心を救ってくれたような気がして、躊躇いなく涙を染み込ませていった。 「……ありがとうございました」 「いいえ。少しは心が軽くなりましたか?」 「はい」 こんな特殊な恋愛相談は友達には出来ない。 冴子さんだからこそ話せた自分の気持ちなのだ。
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