第六話:闇のココロ

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そして、冴子さんだからこそ聞きたいこともあった。 コクリとカフェオレを飲み干し、冴子さんに向き直る。 「人格障害って治るものなんですか?」 私の問いに冴子さんは一瞬目を見開いたあと、「上手に向き合って生活している方が多いですね」と困ったように眉を下げた。 上手く言葉を濁されたけれど、私ははっきりさせておきたい。 「もし治ったら……シンは消えてしまうんですか?」 表に出ているのはシンが圧倒的に多いけれど、主人格はマコトさんなのだ。 この人格障害に終わりが来るとしたら、それはシンが消えることなんじゃないか。 そう考え出してから、私はマコトさんとシンに深く関わってしまったことを後悔した。 一つの体に二つの心。 それはとても恐ろしいことだったのだと、今さら実感したのだ。
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