第六話:闇のココロ

6/31
前へ
/195ページ
次へ
「消える……というよりは統合に近いかと思います」 「とうごう?」 聞き慣れない言葉に首を傾げると、冴子さんが両手を広げてがっしりと組んで見せた。 「マコトとシンが一緒になる、という意味です」 「え?」 「解離性同一性障害、つまり一つだったものがバラバラになっている状態のことですから、治るとすれば元に戻ることかと」 やっぱりシンが消えるということではないのだろうか? 難しい冴子さんの話に混乱して再び目頭が熱くなってしまう。 「百合さん……ごめんなさい。あなたを巻き込んだ私のせいだわ」 「そんな違います。私は仕事をもらって住む場所まで提供してもらって、感謝してるんです。シンを恋愛対象として見てしまったのは私自身のせいですから」 落ち込んでしまった冴子さんにそう伝えるけど、冴子さんはふるふると頭を振り「やはり私のせいです」と言う。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加