第六話:闇のココロ

7/31
前へ
/195ページ
次へ
「百合さんが傍に居れば研究がしやすいと言ったのは、マコトが百合さんに好意を持つだろうと予測してのことだったんです」 「えっ?」 「そうなればもう少しマコトも障害に前向きになってくれるんじゃないかと。でも、百合さんがシンを好きになる可能性を考えなかった……。だからごめんなさい」 初めて聞く冴子さんの真意に胸がざわついたけれど、それでもこうなったのは冴子さんのせいなんかじゃない。 冴子さんは予測をして最初に私をマコトさんとシンに会わせただけで、そのあとの行動は全て自分の意思だ。 シンを好きになるだなんて、自分でも思ってもいなかったことだし。 「冴子さん」 「はい」 「もし責任を感じているのなら、これからも恋愛相談に乗ってもらえませんか?」 「……百合さん」 さっきまでと立場が逆転し、色っぽいその目に涙を溜めたのは冴子さんだった。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加