第六話:闇のココロ

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***** カタカタとパソコンのキーを叩く音が響く副社長室。 今日は特に巡回をすることなく、シンはずっとパソコンで作業をしていた。 二人きりの密室。 いくら仕事中とはいえ、好きだと気付いた相手と二人きりになれば誰でもドキドキしてしまうだろう。 「百合」 「はいっ!」 「……お茶」 「あ、はい」 妙に緊張して元気良く返事をしてしまった私に、シンは怪訝そうに眉を寄せながらお茶をリクエストした。 マコトさんに告白されて数週間。 シンとの関係もギクシャクしたものになっていた。 そう感じているのはきっと私だけなんだろうけれど……何より、シンが何も言ってこないことが気持ち悪い。 私がマコトさんに告白されたことを視ていたはずなのに、何故何も触れてこないのだろう。 シンなら茶化してきそうなものなのに……。
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