第六話:闇のココロ

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「はい、お茶」 シンのデスクにコーヒーカップを置く。 お茶と言ってもシンが飲むのはコーヒー、しかもブラック。 見た目通りの嗜好で絵になるところが何だか悔しい。 とりあえず私もついでに淹れてきたカフェオレで小休憩を取ることにし、自分のデスクへ戻る。 凝り固まった首を鳴らし、肩のストレッチを始めると、シンの視線が私に固定されているような気がしてぎこちなく振り向く。 「な、何?」 「いや」 けれど視線を逸らされてしまい、らしくないシンの態度に胸がモヤモヤとする。 いつもなら思っていることをズバズバと口に出すのに、ここ数週間のシンは言葉を濁してばかり。 私の思い過ごしなんかでなければ、やっぱりシンもマコトさんの告白について何か思うことがあるのだろう。 それが良いことなのか悪いことなのかは置いておくとして、とにかくはっきりさせておきたい。
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