第六話:闇のココロ

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「俺の本心を聞いてどうするつもりだ?」 「……え?」 少し声色が低くなり、初めて会った時のような冷たい視線を向けられてビクリと肩が揺れる。 「俺が何とも思わなかったと言ったらマコトの告白を受けるのか?」 「それは――」 「俺がマコトのようにお前を好きだと言ったらマコトの告白は蹴るのか?」 責めるようなシンの言葉に体が震える。 シンがどう思っているのかは聞きたかったけれど、それを聞いてどうしたいのかなんて考えていなかった。 「……ごめん……カップ片付けてくる」 この場の空気に居たたまれなくなった私が逃げるように副社長室を出ようとすると、「待て」とシンの低い声が呼び止める。 深呼吸をして表情を整えてから振り返ると、いつものように眉を寄せたシンがすぐそこにいた。 どことなく瞳が揺れているように見えるのは、私の思い過ごしだろうか。
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