第六話:闇のココロ

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待て、と呼び止めた割りには続かない言葉に首を傾げる。 「お前は……百合はどうなんだ?」 「どうって?」 「マコトと付き合うつもりなのか?」 今度はシンが私の目をしっかりと見てそう質問してきた。 「付き合うって言ったらどうするの?」 さっきの仕返しとばかりに私もシンの質問に質問で返す。 すると、寄せていた眉がさらに狭まり、完全に眉間に皺が入ってしまった険しい表情のシンが、スッと私の顔に手を伸ばしてきた。 「ごめんなさい、と言ってあの告白のあとマコトに触れただろう?何故だ?お前が触れなければ俺に交代することはなかったはずだ」 突かれたくないところを突かれ、バクバクと心臓が激しく鼓動を繰り返す。 強制的にマコトさんからシンに交代させたあの日、シンは何も言わなかったから特に気にしていないものだと思っていたのに。
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