第六話:闇のココロ

14/31
前へ
/195ページ
次へ
「お前……」 「ごめんね。こんなこと言ったらシンもマコトさんも困らせるだけだって分かってたから、言うつもりはなかったんだけど」 シンが言わせたようなものなんだからね、という言葉は言えなかった。 それは、私の手が突然引っ張られ、間近にシンの顔を捉えたからだった。 呼吸をするだけで息が掛かってしまいそうなその距離に、心臓が破裂しそうなくらい激しく鳴っていた。 「……シ、シン?」 「俺が好きだと?信じられないな」 「なっ何でよ!好きだって言ってんじゃない」 「マコトと俺は同じ顔だぞ?顔どころか同じ体なんだぞ?だったら普通、性格の良い方を好きになるだろ」 確かにシンの言うことはもっともだ。 もっともだけれど……、 「しょうがないじゃない。マコトさんじゃなくてシンを好きになっちゃったんだから!」 半ば吐き捨てるような二度目の告白は、自分の気持ちが伝わらないことへの不満なのか不安なのか、声が震えてしまった。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加