第一話:彼の秘密

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「宝来真(ホウライマコト)、このトレジャーランドの副社長です」 やっぱり……と思いつつも冴子さんの操作するパソコンの画面に集中する。 「副社長のお父様が現社長、ですので副社長は有力な次期社長候補、ということになります」 「……はぁ」 何だか私とは違う世界の話にいまいちピンとこなくてそんな曖昧な相槌を打つと、冴子さんがポンとエンターキーを押した。 「何も問題がなければ……という話です」 「え?」 パソコンに写し出された二枚の写真と、冴子さんの言う“問題”に何か関係があるようで、私は目を細めてじっと見る。 その二枚の写真はどちらも副社長、宝来真のもので、間違い探しでもしろと言われているのかと首を傾げた。 「分かりますか?この違い」 「……違い?」 やっぱり間違い探しをさせられているのだと思い、画面を今以上に注意深く凝視する。
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