第六話:闇のココロ

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振られるならまだしも、好きな気持ちを否定されるなんて。 「もういいよ」 うるうると溜まってしまった涙を見られないようにくるりと体を翻したけれど、シンの手によって再び反転させられてしまう。 こうなったら睨むしかない、と睨み上げるけれど、私の顔が大きな手で包まれてしまい身動きがとれない。 「やだ……離してよ」 抗議の声を上げるも聞き入れられず、興奮した私が手を上げると、その手首を掴まれて壁に押し付けられた。 両手とも壁に縫いとめられ、ただ唇を噛みしめるしかない。 「何で……シン……離し――」 「俺に絶対触るなよ?」 「え……――ッ」 一瞬何が起こったのか理解出来なかった。 ただ、キスをされたのだと気付いたのは、シンの長いまつげが伏せられていたことに、頭よりも早く胸が反応したからだった。
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