第六話:闇のココロ

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俺様的な発言をして再び唇を寄せてきたシンに、もちろん私が逆らえる訳もなくて……。 両手を封じられ自由の利かない体をシンに任せることが、こんなにもドキドキするものだとは思わなかった。 自分の好きな人が、自分を好きでいてくれる。 それが、とてつもなく嬉しくて、でも同時に哀しい気持ちになるのは――やっぱりシンの中にマコトさんを感じてしまうから? ただ、副社長室で交わしたシンとのキスは、甘くて少し切ない味がしたな、なんてヒロインにでもなったつもりで思っていた。 ***** それからしばらくして、告白とキスの余韻に浸っている私に、シンがカフェオレを淹れてきてくれた。 こんなことは初めてで、何となく照れ臭くなってしまう。 「あ、ありがとう」 何も言わないシンはいつも通りだけれど、私にはシンが今から何か大事なことを話そうとしているのを感じ取っていた。
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