第六話:闇のココロ

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私の言葉にシンはフッと笑って腕を組んだ。 「俺がいなくなるのは嫌だ、とか感情的な発言をするかと思ったが、案外冷静な意見だったな」 「なっ……人が真面目に答えてるのに!」 ずっと悩んでいたことを茶化されてムッとする私の頭に、シンの手がそっと乗せられ優しく撫でられる。 その行為に顔を赤くすると、シンの手が私の頬をなぞりながらゆっくりと下がり、顎を捉えるとクッと少し上げた。 「俺はお前のそんな可愛い表情(カオ)をマコトには見せたくないけどな」 「――ッ」 カッと顔の赤みが増す中、私はシンのギャップに戸惑っていた。 普段からは考えられないような甘い言葉が飛び出し、優しい触れ方に気遣い。 何よりもサービスとばかりに見せる笑顔は柔らかくてとろけそうで、私の鼓動を大きくさせた。 もしかして、シンは彼女にだけこんな感じなのだろうか? そうだとしたら、私はプレミアムチケットを手に入れたシンデレラかもしれない。
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