第六話:闇のココロ

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「ほんとにお前は……」 流れる涙を拭ってくれていたシンがハァとため息を吐きながら、私の体をゆっくりと抱き起こした。 「……ごめん」 ソファーに向かい合う形で座らされ、シンの痛い視線に耐えられなくなった私は、うなだれるように謝った。 「マコトとの件が解決しない限りこの先へは行けないってことだな」 「……ごめんなさい」 「謝らなくていい。そういうお前だからこそ俺も惹かれたんだろうからな。自業自得だ」 自虐的にそう嘆いたシンだけれど、私の頬をつねっている辺り、自業自得だとは思っていなさそうだ。 「もー痛いってば」 「悪い悪い」 頬から指を離したシンは、そのまま私の頭を抱え込むようにして抱きしめてくれた。 もしかすると、最初からこうしたくてわざとつねったりしたのかもしれない。 私も抱きしめ返すことが出来なくてもどかしいけれど、その分言葉で返した。
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