第六話:闇のココロ

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その言葉に、ポンと私の頭に手を乗せたシンが「言っても直すようなやつじゃないだろ、百合は」と言うと、冴子さんが目を丸くした。 「シンが誰かを擁護する日が来るなんて……やっぱり百合さんを連れて来たのは正解でしたね」 からかわれたような誉められたような言葉にどう返事したらいいものか分からず、とりあえずヘラッと笑ってみせると、頭に乗せられていたシンの手がポンポンと動いた。 見上げると、シンがマコトさんみたいにふわりと優しく笑っていてドキンと胸が跳ねる。 「百合は百合のままでいい。何があってもな」 「……シン」 恥ずかしさから一度視線を外したけれど、“私は何があっても離れない”という気持ちを込めて再び視線を合わせて頷いた。 「それじゃあ二人はそちらのソファーに座ってください」 場を仕切る冴子さんの指示に従い、私たちはソファーに腰掛けた。
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