第六話:闇のココロ

26/31
前へ
/195ページ
次へ
普通に答えるなら社長夫人なんじゃないの?と思ってしまったシンを見ると、シンは一点を見つめて何かを考えているようだった。 そんなシンに構うことなく冴子さんの質問は続く。 「では、あなたのお兄様は?」 「えっ!?」 これには私が驚いて声を上げてしまった。 シンにお兄さんがいるなんて聞いたことがなかったし、その存在すら感じたこともなかったから。 「……兄?俺に兄が……いる?」 驚いたのは私だけではなくシンもだった。 お兄さんがいるのだとしたら、きっと副社長はお兄さんがしていただろうし、万が一何らかの理由でお兄さんが会社を継がずに家を出ていたとしても、シンが存在を知らないはずがない。 まさか隠し子とか? そんな想像が頭を巡っていると、急にシンが片手で頭を押さえ出した。 「シン?大丈夫?」 「……母と兄……何だ?何か引っ掛かっているような……」
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加