374人が本棚に入れています
本棚に追加
ギュッと目を閉じたシンが何だか苦しそうに見えて手を伸ばし掛けたけれど戻した。
私が触れてしまったらマコトさんに代わってしまうから……。
この能力がこんな時煩わしく感じる。
「思い出して、シン。あなたはきっと視ていたはずよ」
冴子さんの言葉に顔をしかめるシン。
何を視たんだろう?
きっとここが大事なポイントなのだろうけれど、あまりにも苦しそうな表情のシンを見ていられない。
「さ、冴子さん……今日はもう――」
「あぁ――っ!!」
「シン!」
シンが頭を押さえて叫んだ瞬間、私は抱き込むようにしてシンを胸に納めていた。
こんなに苦しむのならこのままでいい。
シンとマコトさん、両方と過ごす生活でいい。
勝手な言い分なのは分かっているけれど、これ以上シンもマコトさんも苦しませないで欲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!