第六話:闇のココロ

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「……お、お兄さんは……どうなったんですか?」 私の腕の中でまだ意識の戻らないシンを撫でながら、冴子さんにそう尋ねた。 「生きています。ただ……植物状態で一生このままかもしれません」 「……シンのお母さんは?」 「私の勤める病院に入院しています」 冴子さんは精神科医だから、シンのお母さんは気を病んでしまったのだと悟った。 「宝来真はその事件を引き金にマコトを内に籠らせ、シンを表に出すようになったんです」 「…………」 あまりの内容に息が上手く吸えなかった。 その過去を乗り越えられず、マコトさんは表の世界で過ごすことを拒否したのだろう。 「シンはこのことを思い出したのかもしれないんですよね?マコトさんに影響はあるんですか?」 「分かりませんがたぶんシンがかなりショックを受けたようなので、そのダメージはマコトにも多少なりともあるかと」
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