第一話:彼の秘密

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「一つの体に多数の人格が存在してしまう障害、でしたっけ?」 「そうです」 でも、そんなのはドラマや漫画の世界だけの話だとばかり思っていた。 「左がマコト、右がシンです」 「え?えっ?」 画面の写真を指差して名前を告げる冴子さんに頭が追い付かず、ぎゅっと眉を寄せる。 「宝来真には主人格である“マコト”と別人格である“シン”の二人格だけですがちゃんとそれぞれ名前があります」 「…………」 「マコトは本来の人格ですからそのまま“マコト”と名乗っています。一方、シンは宝来真の真の字を音読みした“シン”と名乗っているんです」 「あ、あのっ!」 全く追い付いていない頭を一度整理したくて冴子さんの言葉を遮った。 「さ、冴子さんは一体……」 「そうですね、私は副社長付きの秘書と名乗ってはいますが本職は“精神科医”です」
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