最終話:光を求めて

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「幼なじみで……ずっと支えてくれてた人なんです」 「幼なじみですか」 「この間の三回忌が終わって告白されたの。三回忌が終わるまでは友人のままで支えて、終わったら恋人として支えたいっずっと思ってたって」 この話を聞いて、素敵な男性だと思う人と、したたかな男性だと思う人に別れるだろう。 幼なじみのことをずっと想い続け、三回忌まで支えていた素敵な男性。 傷心の彼女を見逃さず、三回忌を機会に告白したしたたかな男性。 私はどっちにも感じたけれど、佳奈さんのために素敵な男性だと思いたい。 「でも佳奈さんは迷っているんですね?指輪……まだ嵌めたままですもんね」 ハッと目を開いた佳奈さんは、とっさに胸元をぎゅっと握りしめた。 薬指の指輪同様、その首にはご主人の形見の指輪がまだぶら下がっているのだろう。 佳奈さんはご主人を忘れたわけでも愛していないわけでもない。 ただ、新しく好きな人が現れてしまっただけなのだ。
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