最終話:光を求めて

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心を決めた佳奈さんを送り出し、残っていたコーヒーを飲み干して振り返ると、 「副社長!」 そこには、背中を壁に預けて腕を組んで立っている副社長がいた。 フッと右の口角を上げて笑っているところを見ると、佳奈さんとの会話を聞かれたのだろう。 「いつから居たんですか」 「最初から」 「……悪趣味」 「ひどい言い様だね。僕は百合音さんの熱弁に感動したって言うのに」 マコトさんは少し性格がシンに似てきた。 こんな風に私をからかったりなんて以前は考えられなかったし。 そう思うと、シンは元々マコトさんの中にあった人格なんだと実感させられる。 「今日は遊園地の花火初日でしょ?準備はバッチリ?」 「はい!さっき確認してきましたけど、問題なく進められそうです」 そっか、と笑ったマコトさんの笑顔に胸がぎゅっと締め付けられた。
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