最終話:光を求めて

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ダイニングルームに入ると、そこにはもうすでにマコトさんの姿があり、慌てて駆け寄った。 「遅くなってすみません」 広い窓から外を見ていたマコトさんが、私の声を聞いて振り返る。 何も言わず、値踏みするような視線に恥ずかしくなって再び駆け出した。 「あっ」 けれど、慣れない下駄とじゅうたんに足を取られ、前のめりに転びそうになって咄嗟にマコトさんの袖を掴む。 あぁ良かった……派手に転ばなくて。 そう思いながら顔を上げると、マコトさんとの近さに胸が跳ねた。 「や……ご、ごめんなさい」 慌ててマコトさんから離れようとしたけれど逆に腕を掴まれてしまい、さらに距離が縮まってしまった。 「マ……マコトさん?」 私が戸惑いの声を上げると、マコトさんはぎゅっと眉を寄せて不快そうな目で私を見下ろした。
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