最終話:光を求めて

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「……マコトさん」 今も変わらず私のことをよく見てくれて、気遣ってくれるマコトさんの優しさに再び涙が溢れた。 ズッと鼻をすすると、シンが私の顔を両手で包む。 「お前……誰のために涙を流してる?」 「マコトさん」 「……浮気か」 「もう」 涙を流しながら笑えるのはシンの前だけかもしれない。 頬を流れる涙を拭う指に瞳を閉じると、待ち望んでいた柔らかな感触が唇を覆った。 その瞬間、まるでドラマのように花火が開き、私たちを明るく照らし出した。 「わ……キレイ」 シン越しに見える花火に目を奪われていると、シンの手が私の両肩をきつく掴んでくるりと立ち位置を逆にされてしまった。 そのまま大きな窓に背中を押し付けられる。 「……花火見えないじゃない」 「俺より花火が大事か」 「何それ、“私と仕事どっちが大事なの?”ってお決まりの女子のセリフみたい」
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