第一話:彼の秘密

26/27
前へ
/195ページ
次へ
「僕の……病気のことは冴子さんから聞いたんですよね?」 「あ、はい」 病気とは人格障害のことだろう。 マコトさんは受け入れられていないと冴子さんが言っていたから、どこまでを病気だと言っているのかは判断出来ないけれど、とりあえず聞いたことは間違いないので頷く。 「それで冴子さんはお医者さんなのに僕の秘書どころか生活の面倒まで見てくれていて、ずっと申し訳なく思ってたんです」 マコトさんの言葉に、冴子さんは眉を下げて複雑そうな表情をした。 それはきっとマコトさんには内緒で進めている研究の件があるからだろう。 「だからもし百合音さんさえ良ければ、冴子さんを助けると思って僕の秘書をしてくれたらな、って。あ、むしろ冴子さんの秘書?」 ん?と自分で言ってて混乱したのか首を傾げるマコトさんに思わず笑いが漏れてしまった。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加