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私、高月百合音(タカツキユリネ)は、二ヶ月前に五年勤めた会社を退職し、新たな職を求めて奔走している。
退職理由は一身上の都合。
一身上、と濁してはいるけれどなんてことはない、ただ職場に居づらくなったから退職したのだ。
二十代後半なんてまだまだ働き盛りだと思うけれど、私が勤めていた会社は一般のそれとは違った。
勤務している人の九割が男性で、残る一割が女性。
会社の中はまるで争奪戦のように、毎日女性の気を引くために男性が何かしらアプローチをする姿があり、私はほとほと呆れ返っていた。
見た目の可愛らしい女性から順に寿退社して行き、その補充にまた新しい女性が入社してくる。
若い女性は入社一年未満で皆寿退社をしていった。
長年残っているのは、そんな状況を気にも留めない“おばちゃん”と呼ばれる年齢の人か、私くらいだ。
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