第二話:冷たい男

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昨日のシンの冷たい視線を思い出して背筋がぞっとする。 人を小馬鹿にしたようなしゃべり方も嫌だけれど、それよりもあの刺すような視線の方が嫌だ。 切れ長の目からまるで人を焼く光線でも出しているかのような……。 アニメだったのかドラマだったのか未だに思い出せないけれど、多重人格について多少なりとも知っていなければ、これが演技じゃないだなんて誰が信じるだろう。 元は同じ“宝来真”と言う人間なのに、マコトかシンかでこんなにも受け取り方が違うように感じるのは、私が人格障害を受け入れた証拠だろうか? 「……マコトさんに代わってないかな」 そんな独り言を吐きたくもなる。 マコトさん相手なら、トレジャーランドもデートのように楽しく回れるのに……。 それくらい、私はシンと二人きりで過ごす時間を恐怖に感じていた。
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