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「この辺りで落とされたんですか?」
「……それが……どこで落としてしまったのか分からないんです。あ、でも、この温泉施設で落としたのは間違いないんですけど」
それは大変だ。
トレジャーランドの一角とは言え、温泉施設もそれなりに広い。
そこを全部探すとなると、かなり労力のかかる作業になる。
しかも、探し物は小さな指輪。
「……すみません」
大変な作業に巻き込んでしまった罪悪感からか、彼女がしきりに謝る。
「いえいえ、ほんと気にしないでください。私“暇人”なんです」
「……でも」
「指輪ってもしかして結婚指輪ですか?」
まだ申し訳なさそうに眉を下げる彼女の気を逸らしたくて、指輪を探しながら話題をさりげなく変えた。
すると、彼女はうるっと瞳に涙を溜めてコクンと頷いた。
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