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「まさかまだ探しているとはな」
「あ」
そういう驚きね、と納得しつつ肩をすくめる。
ポンコツ馬鹿だと自分で落ち込んでいたところに、その命名者が現れたのだから。
「指輪なんか見付かるわけないだろ」
「それでも……探さなきゃ」
私だってもう見付からないかも、と半ば諦めている。
佳奈さんにどうやって謝ろうと、そればかりが頭を過っている。
でも、大切な大切な形見を見付けてあげたいという気持ちの方が大きくて、それだけが私を動かしているのだ。
「自分の物でも友人の物でもないんだろう?今日会ったばかりの他人のためになぜそこまで必死になる」
確かに。
確かにそうなんだけど。
「……人情?」
「は?」
分かってる。
深く眉を寄せたシンが、なんて馬鹿な発言をする女だろう、と思ったことも分かっている。
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