第二話:冷たい男

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「住む部屋も仕事も与えてやる。だから――」 「ありがとう、シン」 理由は何だっていい。 憐れみだろうが同情だろうが。 そんなことよりも、私はシンが他人を思いやる心をちゃんと持っていたことが嬉しかった。 佳奈さんの指輪の件だって、別に放っておくことも出来たのに、こうしてわざわざ足を運んでくれた。 冷たい男だと思ったけれど、冷酷非道というわけではないようだ。 「ねぇ、シン」 「――っ、馬鹿!」 「あ」 バチッと手が弾かれ、シンの動きが止まった。 何も考えずにシンの肩に手を置いてしまった私の失態だ。 「……あれ?百合音さん?」 「あー……マコトさん……どうも」 シンと交代して現れたマコトさんに、あぁ……やっぱり私が触れると人格交代が起こるんだなぁ、なんて思いながらこの状況をどこから説明しようかと考えていた。
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