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二人の間に生まれてしまった沈黙にゴクリと息を飲むと、マコトさんがパッと弾けた笑顔を向けた。
「百合音さんが謝ることじゃないですよ。僕が変なだけなんです。シンももう一人の僕だし、一応百合音さんと指輪を探せたってことになりますもんね!うん、それなら良かった。良かった良かった」
ペラペラと饒舌になったマコトさんは、私のことを気遣ってそうしたのだろう。
だけど、その無理した気遣いは私の胸をギュッと握り潰すように苦しくさせた。
これが冴子さんも苦しんでいた、マコトさんの気遣いなのだ。
「……マコトさん」
「はい」
「無理して笑わないで?」
私の言葉に、目を大きく見開いたマコトさんが、テーブルの上で組んでいた手にギュッと力を入れた。
「笑うなら……マコトさんが本当に楽しいと思った時だけ笑ってください。無理して笑われると私も苦しくなっちゃいます」
「…………」
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