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いつの間にか伸ばされていたマコトさんの指先が私の頬に触れると、キュンと甘い疼きが胸を駆け抜けた。
少し涙の溜まったマコトさんの潤んだ瞳が私の顔を鏡のように写し出す。
「……マコトさん」
名前を口にすると、腫れ物でも触るかのように優しく触れていたマコトさんの指先がピクリと動いた。
見つめ返すのも躊躇われて視線を下げると、触れていた指が段々と私の頬を摘まみ始める。
始めは感触を楽しむかのようにふにふにと。
でも次第に指の力が強くなり……、
「い……痛痛……痛いですって――って……シンっ!」
伏せていた視線を上げると、目の前にいたのは不機嫌そうに眉を寄せているシンだった。
私がシンに気が付くと、シンは右の口角を上げて意地悪そうに笑った。
「いい雰囲気の所邪魔したな」
「――っ、ば、馬鹿!違うってば!」
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