第一話:彼の秘密

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何が起きたのか分からずに立ち尽くす私。 ハッとして振り向くけれど、そこにはもう彼の姿はなかった。 一体なんだったのだろう……。 優しく書類を拾ってくれていたはずなのに、突然態度が変わってしまった。 もしかしたら何か彼の気に障るようなことでもしてしまったのかもしれない。 そう思い、二度と会うことはないだろう彼のことは頭から消し去ることにして、私は書類を抱えて再び歩き始めた。 ***** そしてその日の夜。 お風呂上がりにパッと点けたローカル番組を、アイスに口を付けながら何気なく見ていると、画面の端に見覚えのある顔がチラと映った気がしてテレビにかぶりついた。 「あぁっ違う、もうちょっと右右」 ライブ中継でも、ましてその場にいるわけでもないのにカメラアングルに対してやきもきしていると、再びその姿が映り目を見開く。
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