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しばらくして現れたのは、ブランド服で身を固めた長身の綺麗な女性だった。
「お疲れさまです、店長の岡田(オカダ)です」
高いヒールの靴をカツカツと鳴らしながら小走りでやってくる彼女に、私は再び名刺を取り出して挨拶を交わす。
「お忙しい中申し訳ありません。今お時間よろしいでしょうか?」
外のベンチに視線を送りながらそう告げると、岡田さんは険しそうに眉を寄せて語り出した。
*****
そして今。
シンと二人、撤去して欲しいと要望のあったベンチから少し離れた場所で、探偵のようにそのベンチを見張っていた。
……なんかちょっと楽しいかも。
「お前今、探偵みたいで楽しいと思ってるだろ」
「……そんなわけないじゃない」
「その間はなんだ」
私の背後に立つシンにジロリと睨まれ背筋を伸ばす。
シンと一日中一緒にいるってだけで息が詰まりそうになるのだから、ちょっとくらい楽しませてくれたっていいのに。
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