第三話:置いてけぼりの想い

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「あっ!来た!あの人かな」 例のベンチにドカリと腰を下ろした五十代くらいの男性に視線を投げる。 その人はベンチにゆったりと座り直し、持参してきたお茶やパンで休憩を始めた。 ここまでは至って普通の光景だけれど、肝心なのはそのあとだと息を飲んだ。 「シン見て!」 「見てる。興奮するな」 男性はパンを口に含みながらスマホを取り出し、目の前の店に向けた。 食事を摂りながらスマホを見る人は珍しくないけれど、明らかに不自然な角度に眉を寄せる。 「あれってやっぱり……店内を撮影してるよね」 「…………」 まだ疑惑の段階だからか返事をしないシンに、どうするのかと顔を向ける。 岡田さんから聞いた話はこうだ。 数ヶ月前から、店の前に設置されたベンチに座り、何やら店内を撮影している様子の男性にスタッフの一人が気付き、気味悪く思っていた。
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