第三話:置いてけぼりの想い

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そう。 視えているだろうシン……に……? 「ああっ!」 「――ッ!?」 背中に回していた腕をほどき、思い切りマコトさんをの胸を押し返した。 そうだ……シンには全て視えているんだった。 八つ当たりしたことを謝ったのは視ていて欲しいけれど、マコトさんに抱きついて泣いたことは視ないで欲しかった。 と言うより、マコトさんに抱きついたってことは、シンに抱きついたことにもなるの? いや待て待て、マコトさんとシンは同じ体だけど別人であって……、でも逆を返せば、別人だけど体は同じってことだよね? ああっ!もう!ややこしい!! 「ぷっ」 突然吹き出したマコトさんにハッとする。 さっきまで号泣していた女が頭を抱えて悶絶し始めたら、その変わりように誰でも吹き出してしまうだろう。 恥ずかしくなって顔を赤くしながら俯くと、その頭にマコトさんの手がそっと乗せられた。
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