第三話:置いてけぼりの想い

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ドキドキする胸と火照った顔を落ち着かせるため、無駄にモール内を歩き回ってからホテルへと戻った。 副社長室にマコトさんは戻っているだろうか? 緊張しながらもエレベーターのボタンに指を掛けると、冴子さんからの着信で震えたスマホをポケットから取り出した。 『百合さん、大丈夫ですか?』 「え?」 冴子さんの第一声に驚きの声を上げると、冴子さんはその続きを話し始めた。 『シンに言われて……田辺さんと美咲さんの関係について調べたのは私なんです』 「そうだったんですか」 『百合さんをこの件に関わらせるのはやめた方がいいってメールしたんですけど、もう遅かったみたいで……』 「え?冴子さんが美咲さんたちのことを調べたのって」 『数時間前です』 と言うことは、シンは初めから二人の関係を知っていたわけじゃなかった、ということだ。
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