第三話:置いてけぼりの想い

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「もしかして……美咲さんが田辺さんに会いたい、と言ってたのは」 『三十分前くらいに本人に事情を説明して、聞いたことをそのまますぐシンにメールしました』 なんてことだ。 つまりは、シンは田辺さんと美咲さんが親子である事実を知ったのは、大体私が店長の岡田さんに話を聞いている頃で、美咲さんが田辺さんに会いたいと思ってることを知ったのはついさっきだった……ということだ。 「どうしよう……冴子さん」 『え?』 「私……シンにひどいこと言ってしまいました」 本当に私はポンコツ馬鹿だ。 シンは無愛想だけど、決して冷たい人間ではないと知っていたはずなのに。 自分の感情に振り回されて人を傷つける言葉を吐く方が、よっぽど冷たい人間だ。 『百合さん、シンは今マコトと交代してしまいましたか?』 「……はい」 『交代してどのくらい経ちます?』
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