必殺技!!

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「嘉納くん」 「……。なに?潤?」   一瞬、がっかりした顔をした嘉納くんだけど、 すぐににっこり笑って私の顔を見た。 「あのね?今日帰り、映画見に行かない? 嘉納くんが見たいっていったの、始まってるし」 「そうだな。 飯食ってレイトショー、でいいか?」 「うん」   嘉納くんは笑ってる。 でも私は、心の中でため息ついてた。   仕事が終わって、一緒に会社を出る。 映画館があるとこまで電車で二駅移動。 乗ると、嘉納くんはさりげなく、 私をドア側へとやった。 身長が一五〇を切ってる、 ドチビの私にとって満員電車は危険地帯。 人に埋もれて息すらできなくなりそうになる。 そんな私を嘉納くんはいつも、庇ってくれる。 私が潰れないように、 包み込むように壁に突かれた腕の間から、 長身の嘉納くんの顔を見上げる。 もう何度、こうやって顔を見上げたことだろう。
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