32人が本棚に入れています
本棚に追加
「潤?どうした?」
「え?なんでもないよ」
メタルフレームの奥の目が、
眩しそうに細くなる。
嘉納くんがこんなに柔らかい顔で笑うなんて、
付き合うようになって初めて知った。
最寄り駅で降りて、晩ごはん。
時間はさほどないから、今日はファミレスだ。
食事をすませると映画。
今日は嘉納くんが見たいっていってた、
SF超大作。
私もこういうのは嫌いじゃないし、
結構楽しめた。
「潤、今日は泊まっていくか?」
「……うん」
もう何度も嘉納くんのうちに泊まってるのに、
いつまでたってもそう聞かれると
恥ずかしくなる。
ちょっと俯き気味に頷くと、
嘉納くんは私のあたまをくしゃくしゃと撫でた。
嬉しそうなその手の感触。
きっと嘉納くんは笑ってる。
最初のコメントを投稿しよう!