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「冴。なんの記事を探していたの?」
「えっ、別に……」
私が行方不明になっている記事と、連続殺人事件の記事を探しているとは言えなかった。
「あはは。冴は本当にわかりやすいね。
顔に書いてある。
もう、冴はこの世にはいないんだ。
新聞も昨日までは、連続殺人事件を記事にしていたけど、今日は別の事件に飛びついた。
世の中、そんなもんだよ。
ねえ。冴。名前何がいい?
新しい名前を決めないと。
もうすぐ冴の事はみんなから忘れられていくよ。
今の冴に会っても、みんな冴だと思わないから」
直輝が楽しそうに笑いながら、私に話しかけてくる。
そう、私はもうこの世には存在しない人間。
悲しくて涙があふれた。
「冴、泣かないで。
これから、冴は俺の妻としての人生が始まるんだよ」
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