直輝の元に

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これからは、直輝の妻として生きるのか。 愛していない、憎むべき相手なのに。 悲しみの感情を押し殺し、直輝にむかって微笑んだ。 いつか直輝が警察に逮捕されたら、私は自由になれる。 その時を信じて、それまでの間は直輝の従順なペットとして生きよう。 鏡に映る直輝と、私じゃない私の微笑んだ顔。 知らない人が見れば、幸せそうなカップルに見えるのかもしれない。 「冴。 今から一緒にお昼ご飯を作ろう。 冴は何を食べたい?」 「私は何でもいい。 できたら、ふわふわオムライスかな。 小さい時の幸せな思い出が蘇るの」 ふわふわオムライスと聞くと、直輝は材料があるかどうかを確認する為に、キッチンに行ってしまった。
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