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この包丁は良く切れる。 今なら……
直輝が目の前までやってきた。
「ほら、冴。刺してごらん」
直輝は私が包丁を持っている右手に自分の手を添え、包丁を自分の方に向けた。
「嫌ぁーー」
恐怖で叫んでしまった。
すぐに気を取り直し包丁をテーブルに置く。
「私にはあなたは殺せない」
ニヤニヤ笑っている直輝に伝えた。
「そっか。残念だったな。
冴が俺を殺したくなったら、いつでも刺せばいいから」
直輝は、またニヤリと笑いながら呟いた。
直輝から目を逸らし、玉ねぎを刻み続けた。
直輝の自信はどこから来るのだろう。
私が、もし直輝を刺しても運命として受け入れてくれる?
それとも、絶対に殺さないと思った?
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