直輝の元に

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「ありがとう」 感情のこもらない声で答えた。 もし好きな人からの言葉なら、きっと嬉しいのだろう。 私がこんな目にあっているのは、《VL》に登録して男性をいいように利用した報い。 お昼を食べた後は部屋に戻り、直輝と2人きりで過ごす。 話題もなくなり、シーンとした部屋。 直輝の視線を感じながら、苦痛の時間を過ごす。 「直輝、本が読みたい」 本の世界に入れば、つらい現実を忘れられるかもしれない。 暇な時間を潰す事も出来る。 期待を込めて、直輝に頼んだ。 「わかった。 どんな本がいい?」 「ミステリー。 それか、恋愛小説」
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